ホリエモン逮捕について思ったので長文。

って内容のエントリーを書こう書こうと思ってたんだけど、自分の意見がうまく整理できなくて書けませんでした。このまま書かなくてもいいかなぁと思ったんだけど、今の気持ちを書き残すために思って重い筆(筆じゃねぇけど)を取ることにします。というか、このエントリー書いて自分の中に残っているもやもやをすっきりさせたいので。

ということで、自問自答のようなエントリーになることが予想されますよー('A`)

■ライブドアについて

まず最初。僕は元々ライブドアの事はあまり好きではなかった。プロ野球参入やニッポン放送買収で既製権力やオールドメディアをやり込めていることについては、まぁ痛快だったし(intrest的な)興味を持って見ていたけど、その一方でyahooのTOPページのデザインをパクったりmixiのデザインをパクったりと自社の利益になるなら(誰かの反感を買ったとしても)なんでもやるという姿勢は不快に感じた。

というかyahooのデザインパクりは兎も角、mixiのデザインパクりは彼らの味方になるはずであるネットユーザーを敵に回す行為であり、長い目で見れば決して賢いとは言えない、というかアホだ。ライブドアの目指すべき立ち位置は「ネットコミュニティを代表して既製勢力に立ち向かう会社」のはずだ。ネット=味方、オールドメディアやら既成権力やら=悪、として自らを正義の味方、ネットユーザーの味方と位置づけてユーザーの支持を獲得しライブドア信奉者を増やすのが、ライブドアの存在を大きくするのに一番良い戦略だったはずだ。それが、ネットユーザーから支持を得ているmixiのデザインをまんまパクるというネットユーザーが一番嫌う行為を平気でやってしまった。その事によって将来のユーザーを失い、ネット社会を敵に回してしまった。
僕はmixiデザインパクり事件については、デザインをパクった事について憤慨するというよりも、mixiのデザインをパクることが自分達にとってマイナスだということをライブドアが分かっていないことに呆れた。その程度の感覚も持っていない3流企業なんだなぁと思った。

まぁそれがなくてもに、ライブドアに少しでも(ユーザーとしてでも)関わったことがあるのなら、ライブドアグループは金融業で持っているのであってIT企業としての実体はない、サービスは悪い、創造性はない、基本的に信者で持っている会社、というのは誰でも知っていたのである。少なくともネット原理主義者(というかはてなユーザーや2ch)に近い筋からリスペクト(古いけど)されるような企業ではなかった。

■家宅捜索→逮捕

んだけど、今回の家宅捜索は驚いた。というのは僕はライブドアはちゃんとした法律知識を持っていてその上で法律違反しないスレスレの事はやるけど、法律違反は絶対にやらない、ボロを出さない会社だと思っていたからである。まぁ風説の流布程度なら白に近いグレーで言いがかり逮捕ってのも考えられるけど粉飾決済ってもうだめだめじゃん、と。

あーちなみに一部で「この程度他の企業でもやってる。見せしめの逮捕だ!」とか「実は粉飾決済なんてやってない!ホリエモンは知らなかった!冤罪だ!」とかいう意見もあるけど、僕の見解(それほど偉くもないけど)ではマスコミの言うとおりホリエモンは法律違反だと分かっていて粉飾決済したのだと思う。もちろんマスコミの言うことを鵜呑みにしたのではなく。

  • この程度他の企業でもやってる。見せしめの逮捕だ!

どっかのブログに「高速道路を120km/hで走っていたら逮捕されたようなもの。」って書いてあったけど、佐藤琢磨が高速道路でスピード違反したっていうのならそれだけでニュースになるでしょう?つーか信号黄色に変わるタイミングで直進しても佐藤琢磨って分かってれば捕まるんじゃない?それと同じで、有名になれば普通の人があまり問われないような罪でも大きく取り上げられてしまうのである。
ぶっちゃけうちの企業が粉飾決算なんてやっても絶対ばれませんよ。多分。やんないしやってないと思うけど。そういう意味では「ライブドアだから摘発された」というのは正しい。けど有名になればなるほど揚げ足を取られる事を恐れ慎重に行動する必要がある。ライブドアにはその自覚がなかったのである。

  • 実は粉飾決済なんてやっていない。ホリエモンは知らなかった。

これもマスコミが尾ひれを付けた情報ではなく、宮内氏の発言からの判断である。最初宮内氏は「社長は何も知らない」と言っていたが、逮捕直前には「社長は知っていた」と供述が変化している。まー検察に「堀江のせいにすれば罪が軽くなる」って言われたからかもしれないけど、ふつーに考えてライブドアの事業の核である会社の買収にホリエモンが噛んでない訳ないでしょう。また事情聴取のときに「法律に違反している自覚がなかった」って言ってるけど本当に自覚がなかったのなら最初から「社長は知っていた」というはずでしょう。法に触れているという自覚があったからこそ「社長は知らなかった」とホリエモンを庇ったのである。…人狼BBSプレイヤーならもうちょっとうまく嘘付くよ。
またライブドア側から理論的な反論が全く出てこなかったことも判断の一つ。ホリエモンの性格からして本当にやってないのなら、やってない確たる証拠を探して(自慢げに)ブログに証拠と検察批判のエントリー乗っける位の事はするはずである、ってかちょっと期待していた。「身に覚えがない」としか言えないのはそれ以上論理的な反論ができないからである。よってホリエモンは法律違反だと分かっていて粉飾決済をしたのだと判断する。

■IT業界、ネット世代への影響

ということでホリエモンは分かっていて会社の利益のために法律を犯した、という前提で進めていく。ここで”一般世間”的には「IT企業は信用できない」とか「”お金が全て”というのは間違い」「汗水垂らして働くべきだ」という流れになっていくんだけど、この1件、そんな単純な問題じゃない。確かにライブドアは悪だったがそれは法律に違反した事が悪なのであって、ライブドア、ホリエモンの価値観が間違っていたというわけでない。

  • お金が全て?

ホリエモンの口癖「お金でなんでも買える」というのは、人の心はお金で買えないと思うが、ほとんどの分野では完全に正しい。完全に、というと言い過ぎの感があるけど、ビジネスの分野ではお金さえあればある程度のことは何でも出来る(と思う)。彼はそれを明言しまったせいで反発を受けたけど、彼を否定する人も含めほとんどの日本人はうすうす気づいている事である。

  • やっぱり汗水垂らす?

ライブドア死すともデイトレは死なずでもあるけれど、この1件で「デイトレなんてせずにコツコツ働こう」なーんて思う奴はいないだろう。

  • IT企業の信用?

この1件でIT企業の株価は下がってしまったが、CNETでも書いている通り元々IT関連株に過熱感が会ったところに冷や水が浴びせられただけ。「IT関連企業への投資も冷え込むでしょう」なーんて元から株やってない奴に言われても関係ないね。市場は世論よりも賢い(はず)。「人の裏に道あり花の山」というのは相場の有名な格言である。
ま、森前首相みたいな超オールドぴーぽーには「所詮IT企業は…」とか言うかもしれないけど、経団連の奥田会長初めビジネスパーソンは企業の実を見て判断する。だからこそライブドアの入会を承認しなけりゃ良かったのに。本当にミスだったよなぁ。

ということでこの1件で”世間一般”にはIT企業への信頼は落ちたかもしれないが、実質的な影響というのは少ないような気がするし、ライブドアの作り出した「お金が全て」という流れとそれを支持する人も変わらないと思う。

ここまで考えると、ライブドア事件による一番の影響ってライブドア、またはライブドアの作った流れを支持する人たちとそうでない人たち(オールドメディアや上で書いた「IT企業は…」「お金が全ては間違い」「汗水垂らして働くべき」な人)の意見の相違、考え方の相違をより一層深めたとことなのかもしれない。
…ライブドア事件関連の掲示板を見ていると本当にそう思う。2極化?というか日本を2分しているように感じてしまう。IT企業に勤める僕としてはライブドアが悪いからといってIT企業まで否定してほしくないのでネット社会、時計の針戻すなにリンクを張っておきます。

■ホリエモンを担いだ政治家達

つーか自民も民主もか。僕が両政党に言いたいのは態度をコロコロ変えるな、ということ。小泉さんや武部さんは去年の選挙で確かにホリエモンを応援したんだから堂々とそういえばいい。その上で「あの時は堀江さんの不正に気づきませんでした。応援したことを後悔しています」とか言えばよかったのにさ。元々問題がある人を(人気集めのために)立候補させたのならダメだけど、あの時点ではホリエモンが不正しているなんてほとんどの人は知らなかったわけだしさ。

それよかライブドア堀江氏逮捕で一番掌を返したのは民主党でもあるけれど、民主党はねぇ。まぁ自民のミスを追求するのは当然なんだけど、ライブドア問題追求チーム(だっけ?)を作ったと聞いたときにはバカだなぁと思った。マジで。だって調べれば調べるほど民主党のボロも出ちゃうんでしょ?意味ないじゃん。例え民主の事を棚上げして自民批判を繰り広げたとしても、その時まで国民がホリエモンについて興味を盛ってくれるかどうか。そこらへん世間と感覚がズレてる。今追求するべきは(耐震偽装もそうだけど)米国牛肉輸入問題でしょ。あれこそ民主が堂々と攻めれる自民党/小泉首相の完全な落ち度なんだからさ。

■ホリエモンの生き方

乙部さんがホリエモンの事を「まっすぐで純粋な人」と言ったがこれは正しいと思う(「嘘は絶対に付かない」というのは間違っていると思うけど)。つまりホリエモンは本音と建前を使い分けなかった。あるいは理論的には本音と建前を使い分けた方がいいと分かっていたが、自己顕示欲が勝ってしまった。それによって目を付けられてしまった。そーいう意味では政治家には向いてないわな。

■続く?

てーことで他にいろいろ書きたいことあるけれど、体力が尽きたので終了。結構すっきり。続きは後で書くかもしれない。どんな事を書くかというと

で考えたことなんだけど。このエントリーでホリエモンの事をさんざん扱き下ろしたんだけど、いざ逮捕されると不思議なことに空しいような寂しいような複雑な感情が沸いてきたのです。

つーのを今から書くと朝までかかりそうなので保留。このエントリーだけで2時間使ってるしね(汗