[読書]外資系コンサルが実践する資料作成の基本/たった1日で即戦力になるExcelの教科書

Office系の本を二冊読んだのでメモ

「外資系コンサルが実践する資料作成の基本」の感想

資料の体裁部分について(2章~4章)

資料の体裁やOfficeの使い方部分は8割方出来ており、問題ないように思う。むしろ本書のこのセクションは、自分が後輩の資料をレビューする時に、効果的で体系的な指摘を行う手助けのために使える。

僕が体裁の整え方を学んだ方法は

  • 先輩のやり方を真似したり
  • 既存の資料をそのまま使ったり
  • あるいは自己流で試行錯誤しながらだったり

結果、自分は資料を作れるようになっても、他人に教えることが出来なくなった。

※ 「自分が長い間かけて習得した技術は他人に教えるのが難しい」の法則

後輩を指導する時「君の資料は〇〇がよくない。ダメな個所は××であり、一般的には△△にする方が良い」と出来れば、1回の指導の効果が高くなる。

あとの2割は小ネタだったり自分があまり使ってない機能だったりするので、興味深く読んだ。 例えば、僕は理系人間なので、グラフはありのままの事実を書き、言葉で結論を説明するスタイルだが「王道60 P.231」のように、図自体に強調を入れるやり方があるんだな、と知った。理系脳ではなくコンサル脳で考えると、図は事実を語るものではなく主張を補強するものなので、偽造…ではないけど、自分に都合のよい風に捻じ曲げてアピールするのも手法だなと思いました。

資料のスケルトンについて(1章)

ここは自分が出来てない部分で、コンサルの「思考」に近い部分だと思う。相手に何を伝えるのか、を念頭に資料の構成を考えて作る習慣をつけるべきだなと思った。ここだけを中心に解説している本もあると思うので、次に読むのならそれかな…。

ま、自分の自己流がだいたい合ってる、という確認にはなって良かったです。

「たった1日で即戦力になるExcelの教科書」の感想

この本で役に立ったことは以下の5つ。

ショートカット 機能
Ctrl+1 セルの書式設定
Shitf+F11 シート追加
OFFSET + COUNTA 可変範囲選択
Ctrl + G ジャンプ
Ctrl + Enter 複数セル一括入力

後は全部知っていることだった。これも、自分が今までに使ってきたExcelテクが正しいと再確認でき、他人に体系的に教えるための資料となった。大半が知っている事であったが、たまにこういう本を読んで差分情報をキャッチアップしないと、いつの間にか最新に取り残されてしまうので読んで良かったです。

余談

Excelテクが中心に書かれていたがそもそも、元データを正しく作れば余計な関数は覚えなくて良いという事をもう少し主張しても良かった気がする。ダメな元データの例と良い元データの例を比較するとか。

「タートル流投資の魔術」読了。

インデックス投資至上主義の「ウォール街のランダムウォーカー」読んだなら、その反対の本も読まなきゃねってことで。■感想サブプライム…

インデックス投資至上主義の「ウォール街のランダムウォーカー」読んだなら、その反対の本も読まなきゃねってことで。

■感想

サブプライム問題でも損失受けなかった賢いヘッジファンドの人が書きましたって感じ。

ウォールストリート日記 : ヘッジファンドと金融危機(議会証言より)←こんな人たち

この本の著者はシステムトレード主体で利益を上げるやりかた。ちなみにシステムトレードってのは株価チャートに表示される指標を使って人間の意図が入らないよう決めたルール通りに取引を行う事。例えば過去25日の株価平均が過去70日の株価平均を上回ったら買うとか。ちなみにこれは「ランダムウォーカー」では無意味とされている手法です。

で、タートルズってのは80年代にシステムトレードで大儲けした集団なんだけど、トレードのルールは門外不出。それをタートルズの最優秀メンバーが明らかにしたのがこの本。…なんだけど、実は世間一般で使われてるようなルールをちょっと改良しただけのものでした。そんなルールより重要なことは2つ。

  1. 決められたルールを守る
  2. リスク管理をする

と書いてある。本の前半はいかに人間が心理的に弱くルールを破ってしまうかについて書かれている。著者が言うにはルールを守ることが一番大切で、リスク管理

  • 破産しないため
  • 損失が膨らんでルールを破らないようにするため

だけのもの。

リターンのばらつきを防ぐため分散投資も推奨しており、ここらへんのくだりは「ランダムウォーカー」と通じるものがありました。どちらも

  1. 未来は予測できない
  2. 人間の能力は信用できない

ってスタンスだもんなぁ。

■エッジ(優位性)のある取引を

つまり、勝ち目がある戦いを挑めってこと。気分やカンで買うなんてもってのほか。普通にやれば手数料分負けるので、勝てる確率が高いときに市場に参入する事が大前提。ここの考え方は「サブプライム後の新資産運用」と一緒かなー。勝ち馬に乗るってのはギャンブルでは重要なようで。

■後編:システムトレードの話

本の後編は勝てるシステムの作り方。あんまり興味がなかったけど、統計学の話として面白く読めました。例えばよくある「このトレーディングシステムを使えば今までに○○円も儲かった!」という胡散臭い広告。嘘ではないが、そのシステムは過去のある一定期間でしか成果を上げられないような最適化がされており、広告は嘘ではないが現実に使えるシステムではないことなど(もちろん業者は分かって宣伝している)。
あとは自分の構築したシステムを間違いなく測定するためのテスト方法がいろいろと。まぁ真面目にシステムトレード考えてる人なら知ってる事なのかな?

■システムトレードは有効かどうか。

この本を読み終えるとまるで自分でも(ルールさえ守れば)システムトレードで成功できるように思うかもしれないが、普通の人がこの本を読んで成功できるかというと疑問。というのはタートルズは新聞広告に応募してきた1000人から選りすぐった10数名の話で、それでも半数はあまり成功しなかったのだから。

あとこの本は20年間のデータを使って話をしているが、「ランダムウォーカー」は100年間のデータを使っているのでそっちの方が信頼度は高い。タートルズのシステムトレードは確かに儲けてるかもしれないけど、インデックス投資と比べてどうか書かれてないのでそれも調べる必要がある。

つか、「ランダムウォーカー」は「10年20年その方法が上手くいったとしても100年は続かないからインデックス投資」って言ってるので、この本の内容と矛盾はしないんですよ。この本はあくまで1980年から今までの話なので。だから、この本を支持してシステムトレードするなら少なくても100年分のデータを取り寄せてちゃんと調べる必要はあるよね。

■まとめ

突っ込みどころは多いが実話なのでリアリティがあり、素人からタートルズになりトレードで成功した人の自伝として読むだけでも面白い。後半は数字に強くないと辛いかもしれないけど。日本語訳は読みやすいので投資分野に興味のある人ならお勧めできる本。

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「経済は感情で動く―― はじめての行動経済学」読了

骨折してるから本を読もう第2弾。■感想どこかで聞いた事のある話が多かったです。というのは、この本が経済本にしては面白く人に話したく…

骨折してるから本を読もう第2弾。

■感想

どこかで聞いた事のある話が多かったです。というのは、この本が経済本にしては面白く人に話したくなるからだと思う。

  • 商品が2つあったら安いほうを選んでいたのが、3つあると真ん中を選びたくなる
  • 9000円が8000円に値引きされたら安く感じるが、199000円が198000円になっても変わらないと思う
  • 得している株はさっさと売り、損している株は持ち続けてしまう
  • 採算が取れなさそうでも、途中まで建設した施設を完成させてより赤字が膨らむ
  • 1万円得するより1万円損するほうが感情の揺れ幅は大きい

特に感情に左右される事を嫌うネットのヘビーユーザー層では、よく話題に出るから、それを覚えていたのだと思う。

ここに上げた抜粋以上の内容で読み応えがあるし、日常生活に即した話題が多くて分かりやすい。普通の友達に「面白いよ」と貸せる本だと思う。

■感情から逃れて合理的に判断するために

上記の例の通り、何も考えずなければ損するので対策を考える。

1.思考パターンを知る・メタ認知

例えば「人間は商品が3つあったら真ん中を選んでしまうものである」と知っていたら、真ん中を選ぼうとする自分を戒める事ができる。自分の思考パターンを知っておくと、発生する感情も計算して行動できる。同じく世の中の格言を知るのも重要。金融関係は「株を購入価格は関係ない。これから上がるか下がるかで判断せよ」など投資家心理を戒める格言が多いような気がする。

2.合理的に考える

感情の法則を知らなくても、よく考えれば最適解が出てくるはず。「1円でも特したい」と常日頃から考えてるなら199000円より198000円を選ぶだろう。節約モードの俺はまさにそう。

3.人生経験

値札関係のトリックは普通に生きてりゃ引っかからないような気がする。例えば10200円の携帯電話と9800円でちょっと機能が劣る携帯電話なら(機能差にもよるけど)前者を選ぶだろうし、「今だけ半額!」という売り文句も「新製品が出る前の在庫処分じゃないの?」と疑う事ができる。

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キャンペーンは5月末まで。在庫を一掃して、6月のWWDCで新型発表ですね。

5月31日まで・・・6月に新iPhone出るって言ってるようなものじゃん

■新しく知った思考パターン

この本で初めて知った思考パターンを追加する。

・後悔回避

例えば以前から持っていた株が半減するより、乗り換えた株が半減した方が悔しさが強いこと。「選択保留して損した事」より「選択して損した事」の方が後悔は強くなる。だから現状を変えるのは怖い。しかし本書では20年たてば、したことよりもしなかったことを嘆くようになるとバッサリ斬っている。選択しないのも選択である。

・保有効果

一度自分のものになったものには、手に入れた時の約2倍の価値を見出してしまう事。例えば、無料で貰ったボールペンなのに1年も使っていると"愛着"が沸き手放すのが惜しくなってしまう。これは現状維持を選択してしまう人間心理の説明になる。転職したり引っ越したりと環境を大きく変えるのは、合理的な選択であっても心理的ハードルが存在する。それなりの理由かエネルギーか勢いが必要なのである。

・自信過剰

人間は自分を過大評価し、自分に都合のいいことだけを信じる生き物である、と心理テストで証明されている(「自分が平均以上に頭が良い」と70%の被験者が回答した)。自己評価は当てにならない、自分を過小評価するくらいでちょうどいい。

・ピークエンドの法則

2分間激痛が続き終了する治療と、2分間激痛が続きその後8分弱い痛みがある治療なら、後者の方が痛みは少なかったと感じる。終わりよければ全てよし。人と別れるときの挨拶は重要。

・時間的な選好の逆転

「将来の利益」より「目先の利益」を選んでしまう事。ここで言う"将来"は"数時間後"も含まれる。例えば週末どこかへ出かけようと考えたが、当日になって面倒になる(家でゆっくりしてる方がいいと思う)のもこのせい。これを防ぐには当日選択の余地を残さないこと。具体的には他人と約束したり、mixiなどで"週末○○行きます!"と宣言すること。予定を立てた時点では合理的な選択だったはずだから、感情を抑えて理性に従うべき。

■合理的過ぎてもダメ

ということで、合理的に考えれば損のない人生を送れそうだが、人間社会で生きていくには合理的過ぎても受け入れられない。例えば本の中の例題、

Q.列車が暴走し、線路の先にいる5人を轢いてしまいそう。ここで隣の太っている人を線路に突き出せば5人は助かる。さてどうする?

この問いに迷わず「1人の命で5人が助かるから突き出す」と答える人が友達ならどうだろうか?
また「北朝鮮に拉致された人なんて数十人なんだから、そんな所より数千人を救える新薬の開発にお金をかけるべきだ」と発言する人が政治家でいられるだろうか?

世の中"合理的な"選択をした人が支持を得るとは限らない。それより他人の感情を理解し共感を得る事が大切、とこの本の後半で暗に示されていると思う。「経済は感情で動く」し「世の中は感情で動く」。

例えば人狼BBSの場合、いくら自分が"合理的な考え"であっても、その"考え"が多数派でなければ負ける。そうならないために自分の考えを偽って多数派に鞍替えするか、相手を説得する必要がある。

■まとめ

本の前半はトリビア中心でさくさく進む。今まで感情の手玉に取られてたことを知れば、次からは感情を計算して合理的な選択ができるようになる。後半では心理学要素が強くなり感情に左右される人間を肯定するような書き方になる。確かに人間と感情は切れない関係なのだから、1人の命で5人が助かるのを迷ったり、新薬の開発より拉致被害者の救出を選択するのは、例え"非合理"であっても"人として正しい選択"と言えると思う。

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「ウォール街のランダムウォーカー」読了

骨折しているので本を読みまくる第1弾は「ウォール街のランダムウォーカー」。各所で「金融投資を行うときの基本」と評されてます。…といっ…

骨折しているので本を読みまくる第1弾は「ウォール街のランダムウォーカー」。各所で「金融投資を行うときの基本」と評されてます。…といってもだいたいの感想は「手数料の低いインデックスファンドを買ってずっと持つのが一番儲かるよ~」で纏められてるから読むの楽しみでした。

■感想

インデックスファンドを賞賛するだけの本かと思いましたが、さまざまな投資法や株式投資以外の金融商品も過去数10年のスパンで研究されていて大変面白かったです。と同時に、インデックスファンドは儲かる確率が一番高いだけで、他の投資方法を全否定はしていませんでした。

著者がインデックスファンドを支持する理論をまとめると

  1. 市場は効率的である
  2. 不自然と思われる価値評価(バブル景気やサブプライムローンなど)も、時間が経てば必ず効率的な価格に戻る
  3. 効率的な価格から離れたときに投資すれば利益が得られる。
  4. しかし投資するときの価格が効率的な価格でないか否かはその時点では分からない。
  5. よってインデックスファンドを買ってずっと持っておくのが一番確率の高い投資方法である

※効率的=多くの人がその商品に注目していて商品価格が適正な水準となっている状態。他人を出し抜いて儲ける事ができない。

つまり、運がよければ掘り出し物を探し当てて大もうけする事ができるが、確率や労力、取引手数料を考えるとインデックスファンドが一番ベターだよ、と言っているのである。

■儲けのチャンス

しかし確率はどうあれ儲けられる可能性があるという事実がある。著者もインデックスファンド以外の金融商品(クローズド・エンド・ファンド)に投資して儲けたことがあると書いている。また本の中で「『ダウの負け犬』戦略」というファンドの話があった。ある法則について取引を行うと儲けられる事を発見し、その戦略を書いた本を出版したら員同じことを真似され破綻した、という話しだ。裏を返せばその理論が広まるまでは有効だったのだ。

また著者は

私は真の価値がいずれは行き渡ると信じているが、時には皆が真の価値に気がつかない状態も存在しうるのである。(~中略~)そういう時にはもちろん、私は躊躇なくランダム・ウォークの歩みを止め、さっさと拾うに違いない

こんな事まで言っている。

以上より、市場参加者全員がこの本を読んだとしても

  • まだこの商品は効率的じゃない(と俺が思う)から、今買えば儲けられる!
  • 俺が発見したテクニカル理論は誰にも知られてないから有効
  • 「市場は参加者の心情によって動く」から行動ファイナンスを極めれば参加者の裏をかけるかもしれない

と、一攫千金を夢見る人間は減らないと思う。この本ではそういう人を否定せず、「市場平均に勝つのは難しいだろうが、自分の目で運用したい気持ちも分かる」と言っている。

では果たして自分で選んだ金融商品でインデックスに勝つにはどうすればいいのか?ここでは詳しく考察しないが、少なくとも一般人がパソコン1つでアクセスできるデータだけでは難しいのと僕は考えている。

■まとめ

いろいろな可能性が書いてあり、読者に単一の結論は与えてくれない。それが読み手を(よい意味で)迷わせ、それぞれの投資理論に深みがでるのかなぁと考えます。この本を読んだ事で自分の考えが180度変わったり目から鱗が落ちたりはないと思いますが、考えさせられる材料を与えてくれる本だと思いました。

…しかしこの本は難しい!さくさく読めない!最低限、他の入門書を2,3冊読んだ上で挑戦するレベルだと思う。自己啓発本初心者に「7つの習慣」を読ませたり、プログラミング初心者にオライリー本を読ませたりすると挫折するのと同じで、初めて株式投資をする人には全くお勧めできません!

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「サブプライム後の新資産運用」読了

タイトルに釣られたのもあるけど、「この作者の本は当たりが多い」というネットのレビューが購入を後押し。で、この本インパクトがありすぎ…

タイトルに釣られたのもあるけど、「この作者の本は当たりが多い」というネットのレビューが購入を後押し。で、この本インパクトがありすぎてどこから書いて良いのか…という感じなので、キモである「国際分散投資と長期資産運用はの危険性」について考察してみます。

※この本は「今までの前提」を知っておかないと話しについていけません。とりあえず「お金は銀行に預けるな」あたりを読んでおけばOKだと思います。

■国際分散投資の危険性

一般的に言われている国際分散投資(≒資産4分法)の利点は

  1. 国内と海外に分けて投資することで、例えば日本の「失われた10年」のような時があっても海外の株式に支えられるのでリスク分散できる。
  2. 株式と債権は逆相関関係にあるので、リスク分散できる。

の2点でした。しかし1点目に付いては金融のグローバル化により同じ商品(株・債権・商品)なら国が違っても同じ値動きをする傾向が高く、わざわざ国内・海外に分けて投資をする必要性が低くなっていると主張しています。

これは全く僕の実感と正しく全面的に同意します。だって今の日経平均はアメリカの株価に連動してるし、ガソリンにしてもNY原油の値動きとほぼ連動。わざわざ国内と海外に分ける必要な感じられません(この本では株式は国内を買って、為替リスクは外貨預金でカバーするよう推奨している)。

2点目ですが、「仕組みを理解するのが難しく、リスクの割りにリターンが少ない」という理由で筆者は債権を勧めていない。が、債権がダメ(※)と言っているだけで高リスク資産の株式と低リスク資産を組み合わせる事については資産4分法と同じなので、深く突っ込む所ではない。

※代わりに外貨預金を勧めている。個人的には外貨MMFや低レバレッジFXもいいと思う。

■次に長期資産運用の危険性

こっちの方が引っかかったので詳しく。


・これまでの前提その1:短期的に見れば上下するかもしれないが、株式を10年20年と持ち続けるだけで儲かる。

これに対してこの先も世界経済が成長し続けるとは限らないという指摘をしています。「いやいや、今まで成長してきたからこれからも大丈夫でしょ」と思うかもしれないけど、例えば日本に限って言うと1989年付近のバブル前後の株価、または2000年付近のITバブル前後の株価をまだ回復できずにいる。ちなみに日本はここ数年間戦後最長の景気拡大が続いていた。ここで回復せず何時回復するんだ、と考えると今後バブル期の株価を回復する事はないんじゃないかと思えてしまう。まぁ少なくとも「日本株はここ20年間上昇傾向にある」とは言えない。

「そのための国際分散投資でしょ」という意見もあるが、例えば外国が日本のような事態に陥いる可能性は?ダウ平均は2000年までは一貫して上昇傾向にあったが、2000年と2008年を比べると約5%しか成長していない

それなら「他の成長要素のある国に」ってなるけど「考える」という要素が入った時点で「国際分散投資をしてほったらかし」という戦略ではなくなってしまう。(まぁMSCIコクサイの比率が上手い事変わってくれるよう期待する方法はあるけど)

僕がインデックス投資を知ったとき「ほったらかしだけで本当に儲かるのか」と思って調べたら、やっぱり儲かってなかったw それなのに各所で「一番リターンが見込める投資法」って絶賛されてて疑問に思いつつインデックス投資してたんですが、そのもやもやにこの本がスカっと解答を出してくれました。今はこの先ほったらかしインデックス投資では昔ほどリターンが得られないと強く思ってます。

ほったらかしインデックスの代わりにこの本は「捉利」という考え方を提唱しています。…といっても難しいことではなく「世界全体を一つの経済と見て、お金が流れている商品に乗っかっていく」方法。乗っかり方も書いてあるけど長くなるので省略。


・これまでの前提その2:複利効果が期待できるので、やはり株式を10年20年と持ち続けた方が得だ。

この本は「確かに複利効果は重要だけど、明らかに下落するのが分かっているのに持ち続けるのはおかしい」と主張。まぁそりゃ当然なんだけどこれは「明らかに下落するのが分かっている」のレベルによると思う。長期保有派は「前提として相場は予測できないので、いつか分からない上昇局面のために株式を持ち続ける」というスタンスだから、著者の「相場の予測はできる」という前提と噛み合わずナンセンスと言える。

けど「インデックス投資に決めたから石にかじりついてでも投信解約しない!」と凝り固まるのは良くないのではないか。どう考えても(というと長期保有派から反論がありそうだが)2008年中に日本の株価が回復しない。それなら最低でも年末まで手元の株式を現金化して資産の目減りを減らす方が複利効果に期待するより賢いと思う。

まぁ結局「相場は予想できない派 VS 相場は予想できる派」の戦いで、例えるなら「ロト6の当たり目に法則はある派 VS ない派」の戦い。両者の交点はないのかもしれない…。


■この本のちょっと残念な点

  • 「メイン主張」の間に挟まれる「サブ主張」について突っ込みどころが多い点。例えば外貨預金や投資信託/ETFの売買手数料、日本の地震リスク(それを言うなら他国の地学的リスクも調べて書かないと)について。
  • 「証券会社の使うグラフは当てにならない」と主張しつつ、自分の意見を補完するためにグラフを使っているので「もしかしてこれは筆者の都合がいいように作られたグラフなのでは?」と疑ってしまう点。

■この本が普通に役に立つ点

  • 各動向を抑えるための指標が書いてある点。例えばアメリカ経済なら雇用統計、商品相場ならNY原油など。これは著者の意見に賛同する・しないに関わらず便利。

■まとめ

投資初心者なりに判断した結果、この本に賛同する要素の方が多かったです。この本Amazonの評価も絶賛だしブログ見て回っても賞賛している人ばかりなんですよね。正面から反論できるのはバイ&ホールド戦略のインデックス投資家なんでしょうが、興味ないんでしょうか?著名なブロガーさんの反論を聞いてみたいところです。

あとこの本はインデックスファンドやETFを否定しているわけではありません。むしろ資産運用にはパッシブ系商品を推奨しています。筆者が否定しているのは「考えもせずずっと同じ金融商品を持ち続ける事」なので、インデックス投資派にもお勧めできる本だと思います。つかこんなに長い書評をかかせるほど名著。

サブプライム後の新資産運用―10年後に幸せになる新金融リテラシーの実践
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「金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか」読了。

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読むのに3日かかりました。。さすがに500ページは分厚いです。

■概要

本書は今流行の投資信託から円定期、外貨預金、保険商品、国債といろんな種類の金融商品とその罠を紹介したほんです。つーか罠の紹介が中心でした。以下読書メモ。

  • 年率表示トリック:年率12%の1ヶ月もの→実質1%
  • 倍率表示トリック:0.01%の50倍でも0.5%
  • 抱き合わせ商品縛り:ちょっと利率のマシな円定期と手数料の高い投資信託と組み合わせる。
  • 外貨預金縛り:ちょっと利率のよい外貨預金は円→外貨変換を行ったもののみ有効(手数料かかる)

★金融の世界ではセットだから割高!これ常識!

  • 名目金利と実質金利の話。○年縛りのかかった定期預金はインフレリスクに耐えられない
  • 「当行の判断で満期日を延長」とか危険!
  • デフレ環境下では普通預金が優れた金融商品だったりする。
  • 銀行の外貨預金はシステム的な問題で手数料がかなり割高→ネット銀の外貨預金なら手数料問題はクリアされる。
  • 個人向け国債:変動金利性でインフレに強い長期運用型商品。流動性が低いのが欠点。
  • 年金保険:保険は保険で契約して浮いたお金で運用したほうがマシ(セットは高い法則)

★EB債には気をつけろ

  • "特約付き"は金融機関にメリットのある特約があるということ:オプション取引のリスクを客が被る形になる。
  • 用語
    • ボラティリティ:利率の標準偏差
    • ETF:株価指数連動型上場投資信託。普通に証券取引所で買える
    • 外貨MMF:外国債権etc格付けの高い外貨商品で構成される投資信託

■感想

  • ローリスクでハイリターンな商品はない
  • セットになればなるほど手数料はかかる
  • "特典"は疑え

という所でしょうか。全体的に説明がくどい部分もあるが、裏を返せば丁寧といえる。ただ2005年の本だけあって話題が古いところもあり。例えばFX(外国為替証拠金取引)。本書では大手でFXを扱っている所は少ないと書いてあるが今となってはFXブームで大手ネット証券ならほとんど取り扱いがある。とはいえ、金融商品不滅の定理「美味しそうな商品には裏がある」を実感するには有用な本だと思います。ページ数が多い分内容も濃く面白かったです。久しぶりにがっつり知識を吸収した感のある本でした。

■余談

この本の前に「お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践」も読みました。これは「金融広告を読め」と似たようなスタンスですが、より投資を促すような内容になってます。具体的には

  • 普通預金絶対ダメ
  • 普通預金するくらいなら国債
  • 投資信託(インデックス型)はお勧め
  • けど株はやめとけ

と「金融広告」と比べるとポジティブな論調(「金融広告」はダメ出しばっかりなので…)。図にすると

/ 銀行に預けるな 金融広告
普通預金 ×
外貨預金
個人向け国債
投信(インデックス)
投信(アクティブ) ×
×

って感じかな。

「お金は銀行に預けるな」を読んで「よーしパパ投資信託しちゃうぞー」と思ってるところで「金融広告を読め」に冷や水を浴びせられるくらいでちょうどバランスが取れるのかもしれません。

お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)
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