普通のラジオがネット経由で聴けるようになった件について

これはビッグニュース。
[大手民放ラジオ13社、ネット同時放送解禁へ:日経ビジネスオンライン](http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100210/212732/ “大手民放ラジオ13社、ネット同時放送解禁へ:日経ビジネスオンライン")
「ついに既得権益が屈したか!」というネット寄りな意見もあるけれど。**いち視聴者として普通に嬉しい。**
### もうラジオを聴ける機器がない。
昔ならラジカセやコンポにFMチューナーってついてたけど、今はPCで音楽聴いてるからそういうのは全部処分してしまった。残ったauのFMチューナーで細々とラジオを聴いていたのである。…というかね。**FMチューナー付携帯が少なくて機種も限られてきてるんだよ!**
[FM/AMラジオ視聴方法について、いろいろ検討してみる。](http://prius.cc/d/20090329_how-to-check-radio.html “FM/AMラジオ視聴方法について、いろいろ検討してみる。")
そこでネットでラジオを聴けるというニュースですよ!もうFM付携帯に縛られることはない!
### ラジオをネット経由で聞けるメリット
#### 1.視聴対象&視聴範囲が広がる
これは前述の通り。**受信機器がない人**もネットさえあれば視聴できるようになる。当然、ラジオ電波が届かない場所でもネット経由で聞けるようになる。「都心でそんな場所あるの?」って思うかもしれないけど、オフィスビルや家の立地次第ではラジオの聞けない場所もある。今や「ラジオが聴ける範囲<<<携帯の電波が届く範囲」だし、地下室でも無線LANさえあればラジオを聴くことができる。
これにより従来のラジオユーザーが嬉しい!というのがメリットの一つ。もう一つ。**「普段聴いてなくても、聴こうとすれば聴ける」というのが大きなメリット**で、例えばtwitterなどでラジオ番組が話題になったとしても
* 電波がない
* ラジオ受信機がない
* 電波も機器もあるけれど、ラジオの電源を入れるのがめんどくさい
という理由であまり広がりがなかった。これからは、変な例だけど倖田來未が羊水発言した瞬間にネットで話題になりクリック一つでラジオを視聴することができるのである。いい例も出しておくと、有名人がマイナー番組にサプライズゲストとして登場したとしても、twitterさえチェックしていれば聞き逃すことがなくなるのである。
#### 2.音質が良くなる
これ、普段からラジオを聴いてない人には分からないだろうけど、**普通にFMチューナー経由で満足な音質で視聴できるエリアはごくわずかである。**ネット経由なら安定した音質でラジオを聴けるのはiPhoneのtokyoFMアプリで実証済み。
※ TVの同軸ケーブルから電波取ればいいけれど、それ様の端子がついているコンポを買わねばならず敷居が高い。
#### 3.視聴スタイルの自由度が高くなる
権利関係がOKなら、という条件付だけど、ラジオが録音しやすくなるのは大きい。今でもコンポで受信してMDに録音すればいいけど、正直、めんどうすぎて現実的じゃない。今更ビデオテープに録画しても見ないのと同じ。
PCと連動したいならUSB接続のラジオチューナーを買えばいいじゃない、と思うかもしれないけど、安定しない音質とメーカー側のやる気のなさにラジオユーザーは長年苦労させられてきた(誇張なし)
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権利者側が柔軟になればタイムシフト再生も可能になるかもしれないし、DRMを使っても「放送してから1週間以内なら視聴可」としてくれるだけでありがたい。
### 今後の事
ただ、日経の記事にもあるとおり、ネット配信するのに地域指定をするのは不自然だし、実際にそういう批判を受けると思う。そういう批判に対応して地域指定をなしにすると、事実上の多チャンネル競争になり、人気のない放送局は潰れるだろう。
特に予算の少ない地方局。トレンドの中心である首都圏から人気キャスターで放送するキー局とは勝負にならないだろう。僕も自分の出身県のFM滋賀を聴きたい、という欲求はあるけど、それはシャッター街を惜しむ感情と同じで。観光地はたまに行くから和むのであり最初持てはやされたとしても固定客がつかないだろう。
(水曜どうでしょう?みたいなコンテンツが生み出せれば別だけど)
ということで、放送局に取っては茨の道だけど遅かれ早かれこうなっていた。その時期が今だっただけ。海外では既にネット放送を解禁しているらしい=前例もあることだし成功目指してがんばってほしいです。