リフト券値上げについて
トピックは以下
- 個人としての感覚
- いつまでリフト券が値上がるのか
- 値上がりが終わった後の話
結論は以下
- 計算すると個人にとってリフ券代値上げの影響は少ないが、マインドは落ち込む
- この流れは少なくとも2030年までは続き、ニセコや白馬以外のリフト券も上がりそう
- インバウンドブームが去った後に備えて"ファン"を育てておくのは大事ではないか?
では本文どうぞ。
Contents
リフト券値上げについて
去年に引き続きだが、リフト券が値上げされている。個別のゲレンデに言及するときりがないので、ここでは前年比20%~25%の値上げがされている前提で話を進める。前年が5000円→6000円、6000円→7000円なイメージ。
個人に対する影響
スキースノボユーザーを以下に分類して影響を検討
- ファミリー層・学生スノボ始めたて層
- いわゆるレジャボ勢。ゲレ食を食べる。
- 個人層
- 毎週ゲレンデ行く勢。ゲレ食は食べない。
- インバウンド層
- 円安&旅行気分で消費マインド旺盛、ステレオタイプのインバウンドをイメージ
ファミリー層
ゲレンデ行くのは2,3回。4人家族だと1000円×4=1回4,000円くらいの値上げ。ただこの層にとってスキースノボはディズニーと並ぶようなレジャーなので、値上げは痛いが回数を減らすほどのものではない。
個人層
個人層にもいろいろあるが、
- 首都圏か、現地住まいか
- シーパス派か、早割派か
で大別できる。一番影響が大きいのが 現地住まい・早割派であり、スキースノボ活動のうちリフト券代の占める割合が大きい。一方、以外に影響が少ないのが 首都圏・早割派 で、現地までの往復で10,000円~15,000円かかるので、リフト券代の占める割合は少ない。
私も以前はこのグループに属しており、21-22シーズンでは
- リフト券代:60,000円
- ガソリン代&高速代:150,000円
だった。仮にリフト券代が80,000円でも大勢に影響はない(それよりもガソリン代下がってほしい)
70日滑走した20-21の必要経費を計算してみた | pblog
なおシーパス派だが、シーパスも値上がりしてはいるもののシーパスを選択している時点でスキースノボ活動に占めるリフト券の割合は少ないと考えるので、値上がりの影響は少ない。
インバウンド層
イメージ通り、彼らはリフト券代を気にしない。日本への航空券や滞在費に比べるとリフト券代の占める割合は非常に少ない。
以上、大きく影響があるのは現地住まいの早割派であると分析できた。
ただ、 人間はこのように合理的な判断をしない。 消費マインドという言葉があるが、人間は雰囲気で消費をするので気持ちよくリフト券代を払えるマインドは非常に重要だと考える。
今の個人ユーザーのマインドは
- カネ持ってるインバウンドが多数襲来、ゲレンデは激込み
- 調子に乗ってゲレンデが値上げ
- 自分たちは円安で海外に行けなくて苦しい。給料が上がらなくて苦しい。
- コロナで客が少ない時期に支えたのは俺たちなのに(←自分が滑りたかっただけ)
と最悪なので、ゲレンデの値上げに対して 俺たちの好きなゲレンデだから応援しよう! という声はほとんど聞かないように思える。
リフト券の値上がりはいつ終わるのか?
リフト券値上げをインバウンド需要が引っ張っているとしたら、インバウンド需要がいつ終わるのか、が焦点になってくる。
2024年のインバウンドデータは以下で、2023年から増え続けている。
政府としてはこれをさらに伸ばして2030年には今の2倍近いインバウンド集客を目標にしている。
※ 目標にしているだけで、達成できるかは不明。ただ、今よりインバウンド客が減る、という想定はほぼなさそう。
並行して、政府はインバウンド誘致のために需要の分散化を目指している。つまりゲレンデで言うと、ニセコや白馬以外のゲレンデにもインバウンドを分散させるということで、それはニセコや白馬以外のゲレンデのリフト券価格も上がっていく、ということになる。
リフト券の値上がりは終わったらどうなるのか?
リフト券の値上がりが終わる=インバウンド増加が頭打ちになる時だと想定する。
※ この時期を仮に2035年だとすると、値上げを続けたリフト券は12,000円くらいのイメージ(ルスツは20,000円)。
国内の状況が今と変わらない(スキースノボ離れが継続)とすると、スキースノボ客はインバウンド・国内ユーザーともに下り坂になり、将来予測としてもゲレンデに行く客がどんどん減る、と政府が予想する状態になる。
スキースノボ客が減って困らないゲレンデ
リフト券の値上げ分をタネ銭として、2035年までに"冬のゲレンデ"以外の新しいビジネスモデルを確立しているゲレンデは、冬のゲレンデ客が減ってもそんなに困らない = リフト券の価格も値上がったまま据え置かれると思われる。
"冬のゲレンデ"以外の新しいビジネスモデルだが、白馬岩岳は夏ゲレンデで成功しているのでそのフォローでもよいし、温泉地であれば年中温泉アピール、豪華ホテルを立てて箱根みたいな価値を提案するのもよい。とにかくタネ銭さえあればいろいろできる。
地球温暖化により雪の降る量が減る想定だし、"冬のゲレンデ"一本足だと10年20年後に苦しくなるのは目に見えてる。日本は1980年代にスキーバブルを経験しつつ、儲けるだけ儲けてバブルが去ったら苦しくなった、という話を聞いているので、今度は失敗しないように動いてもらいたい。
スキースノボ客が減って困るゲレンデ
特に戦略のないゲレンデ、また"冬のゲレンデ"以外のビジネスモデルを確立できなかったゲレンデは、"冬のゲレンデ"客が減ると単純に困る。
考えられる動きとしては"リフト券の価格を下げる"であるが、定価を下げるとあからさますぎるのでまずは早割の価格をめちゃくちゃお得にするとか、5枚つづりの早割を発売するとか、そういう施策になるだろう。
リフト券の価格を下げると客が増えるのか?
これは難しい問題である。まずリフト券の価格を気にしないファミリー層やインバウンドは動かない(ディズニーチケットよりも価格が安いという理由で西武遊園地には行かない)。となると狙うは個人層になる。
ただ、ここで問題なのが **リフト券の値上げを続けたことで個人層が悪印象を持っている可能性がある **ということである。前述したとおり、人は合理では動かないので「インバウンドで儲けておいて、困ったら俺たち頼りかよ」と反発が起こりそうである。
ということで私のおすすめとしては、 "冬のゲレンデ"ビジネスから脱却してスキースノボの個人客に頼らない経営を目指していたとしても、上手くいかなかったときのために個人層と仲良くしておく ことである。リスクヘッジですね。
具体的には、ロッテアライのように現地に行かないと買えない=現地ローカル向けの早割を出したり、現地のキーマンを巻き込んでゲレンデ運営を考えたり(考えているフリをしたり)、昔からのリピーターを大事にしたり、といった施策を打っておく。
こういう取り組みで将来的なリスクヘッジもできるし、直近のメリットとしてはファンを増やすことでゲレンデが何か不祥事をやらかした時にSNSで擁護してくれる可能性もある。
ということで、リフト券の値上げを続けるのはいいとしても、並行してファンを大事にした方がいいのでは?と思いました。
余談:私の話
結婚して子供が出来て、ゲレンデから足が遠ざかりつつある。その代わりとしてサーフィンを始めたしスケボーも再開しようと思っている。1回にかかる価格は何より、サーフィン、スケボーは数時間や半日で楽しめるが、スノーボードは1日家を空けないといけないのが苦しい。いい雪を午前中だけ滑って帰ってくる、とすればよいが、高いリフト券を払って午前中帰りももったいないし。
子どもが大きくなったら、どこかのシーパスを買って毎週通う、という生活はやってみたいが、ここまでリフト券が高くなると、自分が連れて行く分にはいいが子供が大人になった時に趣味として続けるのか?が怪しくなってくる。それならスケボーとか他の趣味の方が続けやすいなぁ…とは思っている。
スノーボードをやっている時から「今一番楽しいことをやる」をポリシーに、雪が降ったらパウダー、ピーカンならパーク、真冬はピステン、春は地形、とやってきた。そのポリシーの上ではスノーボードにこだわる必要もないわけで、温暖化でスノーボードシーズンが短くなるリスクヘッジも兼ねて、いろんな趣味に挑戦できればと思っている。
ディスカッション
コメント一覧
いつも参考になる記事ありがとうございます。
私のいる関西圏は白馬や北海道のようなスキー場のような大幅な値上げはないですが、徐々にリフト券価格は上がってきております。
その中で、一部の「夏も稼げて」降雪機やレストハウス等の設備に投資できるるのでリフト券価格を上げても客を呼べるスキー場と、「”冬のゲレンデ”以外のビジネスモデルを確立でき」ずリフト券価格を上げることすらままならないスキー場の明暗が分かれています。
昨今の温暖化、少雪で降雪機に投資できないスキー場はそもそも満足にオープンすることができず(1日もオープンすることができなかったところも割とあります)、稼げる一部のスキー場以外は淘汰されるかもしれません・・・
スキー場で満足に滑れないからといってサーフィン等の新しい趣味を始めるのもハードルが高そうなので、いっそ冬もキングスや芝ジブ施設に通おうかと考えてしまいます。