なぜ人狼ゲームでは初日占い師COがセオリーなのか?

### 最初に
この記事は説明が省かれがちな人狼のセオリー「初日占い師CO」について書いた記事です。
* 経験者が言うから従ってるけどメリットがいまいち理解できない
* すっきりしない
* 初日占い師COじゃなかったらどうなんだろう?
という人狼始めたての疑問に答えるために書きました。
### 本題
初日占い師CO。人狼では当然のセオリーになってるけど、最初は引っかかると思います。
「占い師って狼が分かる職業なんでしょ?じゃあ狼見つけてから出てくればいいんじゃないの?」
と。実際僕も思ってました。けど経験を積むと**初日以外に占い師COすると村が不利**ということが分かってきました。ここでは初日占い師COしなかったために村が負けたパターンを例にします。
1. 初日の後、占い師が1CO。しかし偽者だった。
最悪パターンで**まず村が負けます。**3日目くらいに偽占い師がCO。よほどの事が無い限り暫定真として進めます。あとは狼仲間に白出しして村人に黒を出すだけで狼の勝ち。かんたんかんたん。
2. 初日の後、占い師が1CO。真だったけど信じてもらえなかった。
誘導のできる狼だと真占い師を吊れます。そもそも占い師1COという状況が不自然で、村人も疑問に思います。そこを疑心暗鬼を利用して真占い師を偽扱いしていきます。**本物と偽者を並べられるより、どちらか1つを見て判断するほうが難しい。**下手に偽COするより真の信用を落とすことができます。
ここでポイントなのは**1も2も村人から見た状況は同じだけど、狼3人は自陣営を知っている**ということです。よって自陣営の味方につくことができます。1の時は「真でしょ。狼がCO忘れただけじゃない?」とサポートし、2の時は「1COとか正直怪しいよねー。偽っぽい。」と扇動するわけです。村人はほんとの事が分からないから「そうかもー」と思ってしまうのです。
3. 初日の後、占い師COを求めたけど、誰もCOしなかった。
占い師が情報を公開しないまま死んでしまったパターンです。実質占い師抜きの編成と同じなので狼はほくほくですね。偽占い師に踊らされないので1.よりはマシですが村の勝利は厳しいと言っていいでしょう。
日が経つにつれて狼の選択肢が増え、村側には分からないことが増える。こういう自体を回避するために初日占い師COをするわけです。初日占い師COで村は有利にならず、むしろ占い師が狙われる確率は増えますが、それよりも不利な状況を回避するためには仕方なく取る手段です。
### 占い師が喰われることってあるの?
「占い師さえ喰われなければ3日目くらいにCOしてもいいんじゃないの?」
これが次に持つ疑問だと思います。確かに3日目までに喰える村人は2人。参加者が16人の場合、狙って喰うのは難しい…のですが別に問題ありません。**COしても信じられ無そうな人は喰わなくていいのです。**
例えば、初日からみんなに疑われている人はまず除外できます。仮に占い師COしても「吊られたくないから偽COした」と主張できるからです。次に序盤から前面で纏めてる人も除外できます。序盤から纏めると狼に喰われやいので「占い師なら怖くて目立たないはず。喰われる可能性のない狼だ」と主張できるのです。
吊られそうな人を3人・前面に出てる人を3人除外できるとすると、残りは10人。この内狼は3人だから占い師候補は7人。つまり3日目くらいで占い師候補の2/7=30%を墓下に送れるのです。占い師が潜伏死するとパターン1.3、ほぼ狼の勝利ですから**3日目時点で村の勝率は30%減。**占い師が喰われなかったからといって村が有利になるわけじゃないし**デメリットしかありません。**
狼的には初日2日目で占い師くさい所を喰っていき、3日目くらいにCO。真を喰えていればそれでいいし、真が生きてても信用勝負で勝てる相手なら問題なし。それ以外でも初日COと変わらずです。
### 中級者以上の考え方
中級者以上の場合、盤面上の手数は不利になったとしても、**村人の推理力を高めるため**という理由で初日占い師COを希望することが多いです。占い師COして結果を言ってもらうことで
1. 議論のネタが増え、情報が増える
2. 構図がすっきりする
ことがメリットです。
まず「1.議論のネタが増えること」ですが、**占い師がCOしないと初日はしゃべることがありません。**占い師のCOと結果を聞くことで、どっちが真占い師だ!とか○○が白と言った××は人間だ、いや狼だなど話すネタができるわけです。
また占い師はいずれ襲撃されどちらが偽か(ほぼ)確定します。その時に偽だった占い師を初日支持していた××は狼なのではないか?など推理することが出来るのです。
次に「2.構図がすっきりすること」です。例えば15人でプレイして、初日に占い師・霊能者・共有者を全員COさせた場合、こういう構図になります。
* 占い師:○○←どっちか偽
* 霊能者:○○←どっちか偽
* 共有者:○○←村側確定
* それ以外の9人:○○○○○○○○○←内2人が狼
COしなかった場合、こういう構図になります。
* 全15人:○○○○○○○○○○○○○○○←内3人が狼
何も情報のない15人の中から狼を見つけるのは非常に難しいですが、9人なら色もつけやすいし2人のうち1人が偽である能力者から推理することも出来ます。
また「こいつとこいつは助け合ってるから狼だ!」と推理することをライン考察というのですが、誰もCOしていない状況では**パターンが多すぎてライン考察は無理**です。
上の例で、初日COした場合なら占い師からのラインで灰とのつながりを推理できる。
temp1
COしなければ情報が何もなくライン推理できない!
temp2
となります。能力者をCOさせることで灰とのライン考察がやりやすくなるのです。
…とはいえ初めて人は推理も何も分からないと思うので、このメリットは理解できないと思います。中級者が「とりあえず占い師CO」と言った場合は、こういう背景があるということを覚えておくといいでしょう。
### あえて初日占い師COしない遊び方
初日占い師COばかりしてるとゲームがワンパターン化してつまらなくなってくる場合があります。そういう場合**COは能力者まかせ、テンプレ通りの初日COはしない**、というルールでゲームをすることがあります。こうすると初日に推理材料が無く狼も誘導しやすいので村不利ですが、面白みがあるのは確かです。
このルールで楽しく遊ぶには、プレイヤーが**能力者に頼らず推理できること**が条件です。ちょっとした仕草や声色から推理し疑いをかける。能力者がCOしても鵜呑みにしない。むしろ**怪しいCOは即吊りする**くらいの勢いでいくと緊張感があっていいですね!逆に発言が少なく能力者のCO待ちみたな雰囲気になると、情報が出ず単なる運ゲーになってしまいます。
そもそも人狼は**「怪しい人を吊るゲーム」で「手数を計算して詰めていく」ゲームではありません。**計算が正しい人は白で計算を間違うと黒、ではどこかで行き詰ってしまいます。ゲームに慣れたりマンネリ化したら、是非この「原始の人狼」というべきルールでやってみてほしいと思います。