FF13を50時間ほどプレイした感想(ネタバレなし)

まだクリアしてないですがプレイ時間50時間くらいでもう終わりが見えた(ラストダンジョン確認した後サブイベントプレイ中)ので「FF13って実際どうなの?」っていう感想を書きます。 ※タイトルで「ネタバレなし」って書いたけど、公式トレイラーや小説などプレイしなくてもチェックできる事前情報、あとネットで言われてるFF13の評判には言及するので「FF13の情報をかけらも聞きたくない」って人はご注意下さい。

俺のステータス

FFは3・4・5・6・7・9・10とプレイ済み。DQは3・5以外は未プレイ。何か肌に合わない。その他好きなゲームはロマサガ2・タクティクスオウガ・世界樹の迷宮など。オブリビオンなど「自由に動ける洋ゲー」のプレイ経験はありません。

最初に結論

俺がファミ通評価するならFF13は10点満点中8点です。これは全体的にそつがない、まぁまぁ楽しいってことじゃないく大きなマイナスと大きなプラスがあり、それを相殺すると8点くらいになる、ということです。で、僕が思ったのはその大きなマイナスは100人中100人が思うマイナスポイントなのになぜそれを修正せずに完成させてしまったのか?ということです。

FF13のいい所

グラフィック

「そんなの分かってる」と言われそうだけど、やっぱり凄いよ。ムービーが凄いのは勿論、それとほぼ同等のクオリティでフィールド歩けるのが凄い。初めてパルスに降りた時なんて鳥肌立ったもん。フィールドを自由に歩くだけで楽しいってのはさすがFF。

戦闘

めちゃ楽しいです。まずシステム。「オプティマ」って陣形みたいなのを切り替えながら戦うんだけど、これが非常に頭使う。「こいつは強敵だから、まず最初は補助魔法で自分強化してから攻めよう」とか「こいつは速攻撃破できるから防御無視の攻撃陣形で行こう。ヤバくなったら1人回復に回しながら継続して攻めよう」とか。

FF13ではこのオプティマが戦闘の全てで、初見で全滅したボスでも全くレベル上げずにオプティマだけ組みなおしたら楽々クリアとかあります。つまりプレイヤー自身に経験値が溜まるタイプのシステム。勝てなかったらレベル上げてボタン連打すればいいや、ってゲームじゃ断じてない。だから自分で考えてオプティマを組みなおしての勝利の達成感は半端ないです。

もうちょっとオプティマについて。こいつは本当に凄い戦闘システムだと思う。何が凄いかというと戦略性とアクション性を兼ね備えているということ。オプティマを使いこなすには知識と判断力が必要になる。例えば攻略サイトで「最初はオプティマAでピンチになったらオプティマBに…」と書かれていても得られるのは知識だけ。実際には「ピンチ」を判断してオプティマを切り替える能力がないとだめ。例えばHPが50%以下になったら回復、と「知って」いても、敵が攻撃し終わって50%と、敵が攻撃態勢に入ってるのに50%は違ってて、それは画面を見ながら臨機応変に対応しないといけない。

そういう意味でFF13の戦闘は難易度が高い(※)。主観では今までのFFで一番難しいと思う。気を抜くとザコ敵ですぐにゲームオーバー。気を抜かなくても普通にゲームオーバー。初見ボスでは必ずゲームオーバー。少なくとも俺が小学生なら途中で投げてます。なので戦闘のやりがいってのは凄くあるし、逆に言うと毎回考えながら戦闘しないといけないから結構しんどい所もある。一部の人が「全滅してもその前からリスタートできるとかぬるい」って言われてるけど、この難易度はそれ位じゃないと無理。死んで覚えるゲーなのでこのシステムがない=ロックマンシリーズでボスに負けたら面の最初に戻されるくらい酷い話になってしまう。

※ レベルを上げりゃいいじゃん、と思うかもしれないが、今回はシナリオのボスを倒すまで一定以上レベルが上げられないシステムになっている。(ゲームの比較的得意な)俺がその時点のレベルMAXで挑んで苦労するボスばかりなので、苦手な人にとってはほんと辛いと思う。

まだ戦闘の話。長くてごめんね。けど今回の戦闘システムはほんと良くできてると思う。というのはオプティマを構成するロールのバランスがいい。過去のFFでは「○○ってジョブにしときゃ鉄板」とか「○○なんてキャラ、弱いから一回も使ったことないよ」(キマリのことかー!)とかあった気がしますが、今回は全てのロールが何らか役立つ場面が来るので、全ロール成長させて無駄はない。しかもキャラ毎の能力に特色を持たせてるので、FF10の最後みたいに誰使っても能力同じなーんてことにはならない。

とにかく「敵に対応してオプティマを組み直して得られるメリット」がかなり大きい。今までのFFなら「○○ってジョブの方が楽だけど、今のジョブでも倒せるからいいや」って程度だったけど、FF13は間違ったオプティマ・ロールだとさっくり全滅する。逆にぴったりのオプティマを組めばあっさり倒せたりします。このオプティマがハマる瞬間が凄く楽しい。「この組み合わせでいけるかな…?いいぞ!やっぱりイメージした通りだ!」なーんてニヤニヤしてしまう。

最後、バトルの演出。RPGじゃなくアクションゲームなんじゃないかと思われるくらいキャラが生き生き動く。AIも賢くてAIって感じがしない。これは上記の「オプティマ」で役割を与えてやると、ほぼこちらの意図どおりに動いてくれるので、AIなんだけど自分が戦略組み立ててるんだ!みたいな。

FF13の悪い所

上記のいい所を体験できるまでに20時間くらいかかること。この1点。ファミ通の評価で「中盤までは1本道。その後は出来る事が増えて楽しくなる」って書いてたけど、この「中盤」というのが20時間ほどプレイしてから、というのが問題なわけです。

具体的に言うと、3人パーティーになってオプティマの組み合わせが増えるまでに15時間くらいかかります。んで、フィールドを自由に移動できるまでに20時間くらいかかります。それまでは下に書く1本道ダンジョンをえんえんと進んでいかないといけません。

ダンジョン

巷で言われてる通りマジで1本道です。20時間くらいたってやっと自由に歩きまわれるフィールドに出ますが、それまで本当に1本道です。で、ただ1本道なだけじゃなくダンジョンの構成が一緒なのが酷い。景色も変わらん。例えば、あるダンジョンを地下5Fまで降りるとして、1F~5Fのダンジョン構成が全て同じなわけ。正直だるいし新鮮味なんてあったもんじゃない。飽きるっちゅーの。

最初に書いた「100人中100人が思うマイナスポイント」がここで、誰もがこの1本道ダンジョンが最初の3時間くらいで、後は自由にフィールド移動できて3人パーティーでオプティマ組めれば神ゲーだったのにと思うはずです。僕ももちろん思います。ここばっかりは、なぜ20時間も1本道、しかも面白みのないダンジョンを進むような設計にしたのか開発陣を子一時間問い詰めたいです。。誰が見ても悪い点なのになんで直さなかったんだ、と。

ストーリー進行の魅せ方

これはFF7、FF10との比較なんですけど、FF13はストーリー進行とは関係ないダンジョンが多すぎる気がします。例えば「目的地に着くためにはこの山を越えなければいけないんだ」という展開なんだけど、その山が異様に長くて山だけじゃなく川もあって最後にはストーリーとは関係のない川の主を苦労して倒さないといけないみたいな。

例えばFF7、FF10なら常に目的があってそのためにダンジョンに入るので、主人公の足取りとストーリーが常に絡み合ってる感じです。ダンジョンで登場するボスもストーリーに関係したもの、あるいは世界観のバックグラウンドに合ったものだけど、FF13はそのダンジョンの守り主みたいなこいつストーリーに絡んでねぇだろ!というボスが多い気がする。ちぐはぐな感じ。

なのでイベントシーンだけはストーリーに意識が戻されるが、その後はまた関係ないダンジョンを進む、という感じ。こういう展開が1本道ダンジョンへのストレスに拍車をかけていて、「この大変な1本道をクリアしないと次のイベント行けないのか。どうせこのダンジョンじゃストーリー進行しないしなぁ」と嫌になってしまう。

…あ。けどこれはストーリー構成の問題かもしれない。一応、脈絡のないダンジョン中でイベントが発生したりするんだけど、そのイベントが全然本筋に関係のない「キャラクターの心情描写」だったりするんだ。いや、それはいいんだけどストーリーの骨の部分が弱い(気がする)から、「そんなことよりストーリーを進めてよ!」と思ってしまう。

何度も引き合いに出すけど、FF10なんてそこらへんがしっかりしてて、まず「シンを倒す」って目的が骨になって、そこにキャラクターの心情の変化とかを肉付けしていくんだけど、きっちり骨を意識させつつストーリーが進んでいく。そして中盤以降は世界の謎解きモードに入りつつ盛り上げていくって感じだったから。

というかFF13は製作陣が何を主題にしたいのか、いまいち分からんストーリーでした。と言ってしまおう。テーマがはっきりしないと思いました。なので「実は○○は××だったんだよ!」と言われても、「えぇっ!?そっちの方向に謎解き展開するんだ…。」と、斜め上からのストーリー展開っぽく思えてしまいました。

世界観設計と見せ方

世界観というのはゲームの全ての要素をひっくるめて構築するものだと思ってます。例えばFF10はセーブポイント・敵の出現理由・成長システム・そのダンジョンがそこにある理由まで全部で世界観を構築してたのが良かった。FF7も「マテリア」というのがあの世界の中心で成長システムやストーリーまで内包されてたよね。FF13は脈絡もなくショップがあったりアイテムを手に入れたりするのでちょっと興ざめする。例えば武器を成長させる「改造」システムがあるんだけど、これってFF13の世界観と関係ある?と言われるとないんだよね。それなら普通に強い敵が強い武器を落とすという「RPGの文法」に乗っ取った方が違和感少なかったんじゃないだろうか?

あと地図がないのはやっぱだめ。地図、というのはフィールドマップの意味じゃなくて本当の意味での”地図”ね。FF10はフィールドないけど地図があるからまぁOK(ほんとは世界地図ほしいけど)。これは男性的な感覚かもしれないけど、地図を眺めていろいろ想像して、そこからゲームの世界にはまっていく。「ああ、スタート地点からここまで遠いところまで来たなぁ」とか。FF13なんて全く地図がないから、その世界にいる実感が沸かないし、その世界が実際にあると想像しにくい。

とにかく地理的要素がFF13には全然ない。だから「世界」にのめりこめない感じがした。広がりがないんだよね。世界観を構築するのはムービーだけじゃない。「ムービーに出てくる町がそこにある」と思わせるためには、地図やショップも重要な要素なのよ。

※ そういや、昔のFFは「地理要素」によってゲームを構築するのがもっと上手かった気がするけどなぁ。FF3の浮遊大陸しかり、FF5なんて地理要素をうまく使った典型だし。

最後に

取りとめもなく書き始めたらこんなことになっちゃったけどたくさん書きたいことがあったので。後で推敲するかもしれないけど、プレイ直後の勢いを残すってことで2,3日はこのままにしておきます。あと好みもあるけど今回の音楽は世界観にばっちり合ってて最高に好きです。…書くとこなかったのでここで言及など。

で、FF13はこんな感じのゲームなので実際買うかどうかは読んだ人次第だと思います(ベヨネッタや虫姫さまふたりみたいに「万人におすすめ!」なんて言いません。)。ただ「FF13は一本道だからやる価値なしw」ってのは違うと思う。それは「世界樹の迷宮ってグラフィックしょぼいじゃんw」と批判するくらいナンセンスで、FFに自由度を求めるのは筋違い。

人気シリーズだから買うって判断じゃなく、自分の肌に合ってそうだからって理由で買うなら、満足できる可能性は高いかもしれないです。

(2009/12/22 0:02 追記)

思った以上に反響があって驚いてます。はてブもWeb拍手も全部読ませて頂きました(リファラーもできる限り辿りました。) 自分の思いを一気に書いて投下して、別に反対意見があっても良かったんだけど、同意の声が多くて「ああ、やっぱりみんな同じこと考えてたんだ!」という感じです。

※(2010/2/17 追記)たくさんのコメントありがとうございます。全部読んでます。なお現在、コメント欄で上手く改行ができなくなっております(改行を2つ連続で入力すると反映されます)。時間のあるときにデザインを修正して、コメント内容を変えずに改行を反映させようと思っております。よろしくお願いいたします。