「ゲーミフィケーション―がビジネスを変える」読了

ちょいとレンタルできたので読んでます。

ゲーミフィケーション― ゲーム がビジネスを変える
井上 明人
NHK出版
売り上げランキング: 8499

### ゲーミフィケーションとは
「ゲーム的な仕組み」を利用して何かを達成すること。ゲーム感覚で楽しみながら必要な知識を得よう!とかありますよね。
で、この本では「実はゲームの力ってのは凄くて、ビジネスシーンでのゲームの力を利用した事例が続々と出てきている」みたいなことに半分くらい割いてるんだけど、それは最近のWebサービスを利用している人なら感覚的に分かっていることなので割愛。
言語学習のiKnow、XBOXの実績システム(PS3のトロフィー)、位置情報の4sq、はてなスター・ブクマ、twitterのふぁぼ、アメーバピグ、モバゲーグリーの各種ソーシャルゲームなど挙げていけばキリがない。流行りのネットサービスでゲーム的な仕組みを取り入れていないものはない。そういう意味では「やっとお堅いビジネスシーンが追い付いてきた」という状況で、これからゲーミフィケーションがバズワードになるにつれて、**間違ったゲーミフィケーションが続々と登場してネット上でバカにされるんだろうなぁ**という流れまで見えてます。
この本を読み始めた理由は、うちの職場でゲーミフィケーション的な仕組みを取り入れるという話が出てきたこと。(ゲーミフィケーションについて)肌感覚で分かっているものの体系的な知識を手に入れたいから、ってことでした。
### 自分でゲーミフィケーションを仕掛ける場合、どのように注意すればいいか
#### 既にある行動をベースにする
例えば「みんながやりたがらない雑務」について、ゲーミフィケーション化して仕組みを回す。全く新しいところから考えても良いが、設計が難しく、受け入れられにくい気がする。
* 既にある行動をベース:来店毎にポイントカードにポイントつけます!→分かりやすい
* 新しい概念:ある場所に行ったら、4sqでログイン→…楽しいの?
#### 測定可能であること
基準があいまいだったり、属人性があってはいけない。例えば「今回の雑務はいつも以上に大変だったからポイント2倍!」とかはダメ。そうしたいなら、システム的にそうなるように(例えば書類の文章量が○ページ以上だったら、など)ちゃんと定義しないといけない。コンピューターゲームと一緒。
#### 即フィードバック
ボタン1つで即反映。あるいはその日のうちに。例えば数字を入れるとグラフの変化するExcel。「結果は月に1回報告しまーす」では悠長すぎる。
#### アンロックとレベルデザイン
アンロックとレベルデザインがポイント…と本には書いてあるので項目として取り上げましたけど、どうなんですかね?「ゲームを通じてより多くのスキルを手に入れてほしい」って目的のやつなら重要な気がしますけど、既にある行動をベースにしたものだと、最初からいろいろできた方が楽しい気がしますね。例えば、カルドセプトシリーズにめちゃくちゃ慣れてるのに、新シリーズ出たら一からカード集めないといけないとか。
ちなみに僕、以前にFF13のレビュー書きましたけど、あのゲームってレベルデザイン的には微妙だったなーとか思い出しました。何が微妙って最初の3,4時間くらいがAボタン連打で戦闘勝てちゃうの。FF13の戦闘の形式は新しいから慣れさせたいって意図は分かるけど、それでも1時間くらいで良かったんじゃないかな。
#### テストプレイと改善超重要
結局はこれに落ち着くのかな、と。オンラインRPGだけでなくバーチャやスト4などの格闘ゲームでもテストプレイ→バランス調整版リリースを繰り返してる。バランスというのは難しく、最初からベストのものを作るのは無理。ゲームの概念はちゃんと設計するものの、バランスはみんなの反応を見ながら調整していかなければならない。
### 本を読む前の自分の感覚と比較して
自分なりに、ヒットしてるゲームから考えるとこういう仕組みが支持されるんじゃねーかな?というのを、本を読む前に書き出しておきましたので以下リスト。
#### 「アメとムチ」ではなくアメオンリー
例えば「1週間雑務をしなかったらマイナス○ポイント」とかにはしない。それはただ0ポイントなだけ。逆に1週間雑務をせず、久しぶりに始めたらボーナスポイントがつくくらいでもいい。
#### どんな小さいステップにもリアクションが与えられる(例:ゲームを始めた、など)
XBOXの実績システムとか、ゲームを初めて1,2時間で実績ぽんぽん解除されて楽しいんですけど、そういう感じ。
#### ピラミッド状
これは評価の与え方に関わることで、最初はぽんぽんポイントがもらえるけど、ゲームの軌道に乗っていくにつれてだんだんポイントが得られなくなっていくゲームデザイン。「実績の8割はクリアしたんだけど、あとの2割が難しいやつばっかりなんだよねー」とかそういうやつです。
#### 結果がグラフィカル
これは言わずもがなで、せめてExcelでグラフくらいは作りたいよね。
### 比較結果
自分の感覚と、本に書いてあることがあまりずれていないことが分かりました。
この本って、今までゲームとかに触れてなかったけどゲーミフィケーションの事が知りたい、って人のための本なのですね。例えば「いきなり全国ランキングと比較すると、プレイヤーのやる気がなくなるのでやめよう」とか書いてるんだけど、ゲーマーとしては、そんなの分かってるわい!みたいな。
### まとめ
ゲーム世代なら自分のゲーム感覚を信じよう!ゲームやってないのにゲーミフィケーション導入したいなら、まずはゲームをプレイしよう!
実際、僕ら世代が子供のころから身につけてきた「ゲーム感覚」の蓄積は凄いと思うし、これを明文化してマニュアルにするのは結構難しい…というか、マニュアル読んだ所で肌間隔としてそれを身につけるのはそれなりに大変だと思う。
ゲーム世代の僕らとしては、こういう本より、自分が仕掛けたいゲーミフィケーションに似た先行事例を追った方が有益だと思いました。