いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学 読了

読んだので感想。なおタイトルが「いつも「時間がない」あなたに」となっているが、本の中身とあまり一致していないので注意。この本を読んだからと言って時間ができるかと言うと…それは応用次第である。

締め切り効果、給料日直前は節約がはかどる話

締め切り直前になるとタスクのスピードが上がったり、給料日直前でお金がない時だと理想的な節約ができる。それなら最初からやれよ、という話だが、この件についてこの本では詳しく書かれている。

通常状態

通常ではすべてのコトに対する関心は同等であるのでバランス良い対応ができるが、これといった事に対する集中な出来ない。

欠乏状態

○○する締切間近で時間がない!お金がない!となると、そのコトに対して集中し、集中ボーナスが発生する。良いことだけではなく、その他の事に関心がなくなる、あるいはどうしてもやらないといけない場合は処理能力(本では認知能力・実行制御力と説明されている)が落ちた状態となる。

"欠乏状態"になっていいコト、悪いコト

どんな事でも関心が向きすぎると"欠乏状態"になる。仕事の締め切り間近で他の事(例:ネットサーフィン)を気にせず集中できる、というのは悪いことではない。しかしこれが"生活していくお金がない","太ってる自分が嫌すぎる、ダイエットしたい"ならどうか?集中ボーナスが発生してもすぐに解決できないからメリットはなく、その他の事に関心がなくなるというデメリットしかない。

欠乏状態を防ぐためのコントロール

常に「スラック(バッファ、バックアップ)」を持たせること

貯金がギリギリ、締め切りに追われている、などの状態では少しのミス(衝動買いや予定通りにタスクがこなせないこと)で欠乏状態になってしまう。これが悪循環の始まり。貯金に余裕がある、余裕をもって仕事をしていれば安定状態を保てる。…といっても、この状態まで持っていくことが難しいという人もいるが。

極論だが、自分の大事なものもスラック = バックアップを持っておくと心理的な余裕が出る。例えば私はパソコンが仕事に不可欠なので2台持っているので壊れたところで心理的ダメージは少なく心配事にならない。これと同じでスマホを2台持っておく、SIMカードを2枚持っておくなども対処法。

そう考えると、自動車保険や生命保険の意味も見えてくる。金銭的なものももちろんあるが、有事の時に心配事が増える = 心理的欠乏状態になりトンネリングが発生することにより、他のことに集中できなくなり普段の生活にも支障が出てくることを防ぐことの意味がある。

仕組み化。

本書では"1回限りの選択で済ます"と書かれている。例えばダイエットであれば、ダイエット食材を買い込んで毎日同じルーティーンで食べる方が"選択回数"は最初の1回だけで済むからよい。貯金であれば、給与天引きなどを設定してしまえばお金が溜まっていく。

あえて欠乏状態になるためのコントロール

欠乏状態のメリットを生かすため、意図的に欠乏状態になる方法。

「スラック」を持たないこと

持たないように錯覚する事。例えば、給与天引きでギリギリの生活費だけを残して強制的に貯金してしまうとか、もっといいのは1週間分の生活費だけを残して、1週間後に追加の生活費が引き出せる仕組みにする。

タスクであれば、1年後の締め切りではなくタスクをブレイクダウンして日次タスクまで落とし込むことで、今日タスクをやらなければならない!と意識させるようにできる。

処理能力の高い時間を守る

何も欠乏していない時間の状態から、欠乏状態を作り出す。例えば、朝起きてメールだけを確認して2時間はインターネットを切断して作業に没頭する。その際に、2時間で必ずこれを達成する、と締め切りを設定する、など。昨今、"集中タイム"のように呼ばれているものである。

「集中力」と「生産性」を劇的に向上させる8つの方法 | プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術 | ダイヤモンド・オンライン

ここらへんはノウハウが出回ってるので気になる人は自分で調べてもらえればいいが、私視点で手っ取り早いのは上で書いたようなものや、あらかじめ予定表に"集中タイム"と書いてしまうものである。

読書

Posted by tera