SDGsとかESG投資とかについて

昨今話題で、自分事と言えば自分事なので調べてみた。

私との関連

雪山

私はよくゲレンデに遊びに行くのだが、これほど自然を利用しつつ自然破壊しているスポーツはない。温暖化を食い止めようと言いつつ、燃費の悪いガソリン車でゲレンデに乗り付ける。リフトはもちろんガソリン駆動。こういった現状に、対して自分がどう思っているのか考えを主張できるべきだと思った。

私は車を保有しており、燃費のあまり良くないガソリン車である。世界的にEVが推奨される一方、雪山にEVで行くにはリスクがあるとも言える。これについていろいろと調べたかった。

やみくもにEV車にすれば良いという訳ではなく、電気自体がクリーンに作られてないという意味がない。現状、日本は石油燃料に頼る部分が多く、かといって原発を再稼働すべきなのかどうか?これについても自分の意見を持ちたいと思った。

経済・投資

脱炭素がビジネス化しており、そこに資金が集中している。これからの投資先や面白い業界が変わる流れとなっているので、経済面からも勉強したいと思った。

食事

昨年ダイエットをしたのだが、その中でも代替肉についての議論があった。現状通り、鶏むね肉や豚肉を食べ続けた方が健康的なのか、一方代替肉も取り入れるべきなのか、考える必要があると思った。

読書をする

この本を読んで、基礎知識を整理した。

グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす (文春新書)

2021年時点で脱炭素周りの世界観が整理されている、良書だと思いました。

日本のネット上で"反脱炭素"が流行る理由

ヤフコメやはてブで欧州主導の"脱炭素"をdisるような言説が多くみられ不思議に思っていたが、この本を読んで理由が分かった。現状、脱炭素の流れにおいて日本企業は後手に回っており、不利な状態である。脱炭素が進めば自身の所属企業の存在意義が脅かされる可能性がある。 よってその憂さ晴らしなのか、世論を味方につけようと思うのか、反脱炭素な言説が多くなるのかなと思った。

実際、日本がどれくらい不利かというと、脱酸素の鍵となる電力確保の点で遅れをとっており、かつ将来的も悲観的に見える。技術で中国や欧州に先行されており、巻き返すための準備も出来ていない(もはや日本は世界一の技術大国ではない)。仮に巻き返せたとしても、現状のクリーン電力のメインストリームは太陽光発電、風力発電と原子力発電。

太陽光発電においては、広大な平地がある中国や米国が有利、風力発電においては風が安定している欧州が有利。日本には広大な平地もないし、安定した風力が出しやすい場所も限られている。最後の原子力についてはご存じの通り2011年の事故で原発アレルギーになっており世論が許さない。

つまり八方ふさがりなのである。

電力についての突破口

日本も手をこまねいているわけではなく、洋上発電の場所を選定し、業者まで決まっている。

【電力業界騒然】洋上風力発電で起きた財閥の価格破壊、暴落するレノバ株【原発45基分PJ】 – Togetter

落札したのは三菱商事連合であり、業界人?には軒並み歓迎されている様子である。

原発について今のところ動きがないので、今後の政府のメッセージに注目したい。個人的には(この本にも書いてあったが)新型の小型原子力発電を利用し、信頼のおける企業に厳しく管理してもらうことで安全性を保ったままクリーンな電力を生成可能だと思うが、一番の問題は世論がそれを許すかどうか、というか政府がちゃんとメッセージングできるかどうかである。

現状維持で化石燃料を使い続けても、真綿で首を絞められるようにじわじわと経済からはみ出され、日本は凋落してしまうと思う。

この本ではLNGの可能性も論じていたが、欧州中心に「少しでも炭素を出すのはエコじゃない」と宗教的な考えをされると厳しいのかなと思う。

車について

個人的にはクリーンな電力が確保されれば、今すぐにでもEVに乗り換えた方が良いのかなと思っていたが、寒冷地のことを考えると時期早々かもしれない。

ネットの"反脱炭素勢"だけではなく、ちゃんとした団体も懸念として表明しているので、雪国でEVが弱いのは真実であろう。

一方、ノルウェーでは電気自動車売れてるじゃん、というのは、いろんなインフラが整いまくっているかららしい。

日本より寒いノルウェーで電気自動車(BEV)が売れまくる理由は特殊な条件と揃ってるからだった – Togetter

これと同レベルのインフラが日本でも揃えば、雪国でもEVでOKなのかなと思った。だが、雪の降るエリアがそこそこ広いので、冬に安心してどこでもEVで行けるのはまだ先かなと思う。

経済・投資

一般的に言われていることだが、これから伸びようとする会社は脱炭素(≒SDGs、ESG)の観点を抜きにして成長することは出来ない。工場を持つような業種はもちろんだけど、例えばIT業界でも電力の安いメーカーを重点的に採用する、脱炭素を謡っているソリューションに投資するなど「何か脱炭素に貢献できることはないか?」と考えながら経営する必要がある。加えてSDGsの観点に考慮し、ESG投資で選ばれる銘柄になる、ということでしょう。

社員がエコを意識してます!ペットボトルリサイクルしてます!という生ぬるいものではない。

一方投資家視点だと、SDGsに無頓着な企業は機関投資家からの資金が流れ込まない可能性があるのでリスクであることを認識すべき。

またこの脱炭素の流れは脱炭素会社に投資して一攫千金するチャンスでもある。が、本の中で「洋上発電の雄」として推されていたレノバ社は、先日の洋上発電企業選定で三菱商事連合に完敗し、株価は暴落。業界に詳しくない人間が手を出すとやられそうな気もしている。

そう考えると、コロナ渦でIT企業に資金が集中する中で、IT業界人としては企業を選別するチャンスがあったな…と少し後悔する。

食事について

一般的に言われていること。家畜を飼育するのにCO2がめちゃくちゃかかるから、肉はなるべく食べないでおきましょう、ということ。その代わりに人間が作った代替肉(プラントベース)を食べましょう。もちろん、代替肉の工場ではクリーンな電力を使ってますよ!というのが世の中の流れ。

代替肉というのは2,3年前にニューヨークで流行っているのを聞いたことがあるが、今では日本のスーパーでも大豆ベースの肉を変えるしモスバーガーやフレッシュネスバーガーではプラントベースのハンバーガーを出してたりする。

今の所は100g60円くらいで鶏むね肉買うのがコスパ良いが、代替肉自体の味はそんなに問題ないから後は価格さえ逆転すれば自然と代替肉に切り替わっていくのではないか。これは生産プロセスの改善で代替肉が安くなれば実現するかもしれないし、脱炭素税が普通の肉にかかって、結果代替肉の方が安くなる可能性がある。

なお私自身は、全て代替肉にせよ!みたいなヴィーガン論者ではなく、たまに代替肉、たまにステーキでいいじゃない、という緩やかな思想。こういうのをフレキシタリアンというらしい。古くから肉や魚やいろんなものをバランスよく食べてきた日本人には良く似合った名称だと思う。

今後の注目&日本の勝ち筋

冒頭で書いた通りクリーンエネルギーについては大分遅れをとってしまっている日本であるし、資源リソースの問題でも追い上げるのは難しい。

日本としては、資源リソースに関係なく技術だけで勝負できる分野に挑むのがいいのではないかと思う。

例えば前述の代替肉なんかは研究でなんとか勝負できそうだし、私が注目しているのは大気中に発生してしまった炭素を吸収して閉じ込める技術。カーボンネガティブというらしいが、今から炭素を出さないだけでは温暖化が止まらないので、大気中の炭素を吸収して炭素を減らしてしまおう、という発想。

これが実現できれば炭素排出量取引で有利になるから、各国ともにニーズのある技術であろうし、太陽光や風力と違って資源リソースで勝負が決まるのではなく、技術の世界だけで何とかなりそうなので、日本でも勝負できるのではないか?

2022年はこういったアンテナを張りながらニュースを見ていきたい。