いわゆる"ワンルームマンション経営"について考えた

職場によく勧誘電話がかかってくる"ワンルームマンション経営"についてちょっと考えてみました。つーか一度説明に聞きに行ったので、業者の話や自分が思ったことを纏めただけですが。

■「ワンルームマンション経営」とは

都心にワンルームマンションを購入し、管理会社に管理を委託し家賃収入を受け取る金融商品。持ち家と違って頭金なしですぐに始められる。2000万円の物件でローン3%の低金利、毎月の支払い約10万円は家賃収入で相殺でき35年でワンルームマンションがあなたの手元に。(実際は月々の管理費1万円~1.5万円赤字)

■ワンルームマンション経営のメリット

1.固定資産が持てる
月々1万円~1.5万円で35年後に固定資産が持てる。

2.年金の代わりになる
今の調子では国の年金には期待できない。マンションならローンを完済すれば死ぬまで家賃が収入になり老後の生活を支えてくれる。

3.税金対策になる/還付金で月々の管理費が相殺できる

マンションに関わる諸経費を確定申告できるので、見かけ上の年収を下げる事ができる。所得税が年10万~20万ほど帰ってくるので、これが月々1万円~1.5万円のマンション管理費と相殺。実質ランニングコストがタダでマンション経営できる。

4.生命保険代わりとなる
契約形態的に契約者本人が死んだら残りのローンは払わなくてもよい。つまり2000万円の物件のうち500万を払って交通事故で死んだ場合、家族に1500万円の物件が残る。実質的な生命保険と同じ効果があるので、生命保険を解約してOK・

■ワンルームマンション経営のデメリットとその対策

1.空室リスク

誰も入居しなけりゃ家賃収入0。しかし業者の話では地方と違って東京都心の駅近郊は入居率96%と需要過多。仮に入居者がいなくとも業者が家賃の90%を保障する仕組みがあるので大損はしない。

2.天災リスク

地震や火事でマンションが壊れたら終わり。…ではまずいので、契約と同時に保険に入り地震や火事が発生した場合にはそこから完璧に保障される仕組みになる。元よりワンルームマンションは(梁が多いので)地震に強く、阪神大震災でも全壊したマンションは0だった。

3.修繕リスク

35年も経ったマンションになんの価値があるのか?いやいや、今のマンションは外壁がタイル張りでメンテしやすく、修繕費は毎月の管理費の中に含まれているので突然大金が必要になるということもない。

■俺的なツッコミ

最初に引っかかったのが「月々1万円~1.5万円の諸費用は還付金でチャラになるから、実質タダで35年後にマンションを手に入れられる」という話。こういうインチキ臭い話はちゃんと吟味してトータルで考えなければいけない。

例えば2000万円のマンションをこの方法で購入した場合、35年後に築35年のマンションが手に入る。一方、今から2000万円を1%の円定期に入れた場合([新生銀行] 冬の特別円定期)、1.01の35乗=1.42倍の2833万円になり833万円の収入となる。つまり35年後に築35年のマンションが833万円以上の価値を持っていなければ損となる。

実際、833万円以上の価値があったとしても35年間の間入居者がいて修繕もきっちりされるかを考えると、円定期の方が圧倒的に低リスクだろう。メリットは"今"2000万円持っていなくてもローンを組んで2000万円の物件を運用できる事だけ。勝間本で言われてる通り「持ち家とはレバレッジをかけて住宅に投資すること」なのである。

また空室リスク:入居率96%だから大丈夫についても疑問。不動産屋が言うには、この先日本の人口が減っていくにしても東京都の世帯数は増える傾向にあり、また平均世帯人員は減る傾向にあるらしい。

『日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)』(2005年8月推計)トップ

※PDFファイルのP14、P16を参照

つまり都心で1人で住む人が増えるので、ワンルームマンションの需要側は減らないという主張。

しかし上記資料は年齢が考慮されていない。50歳の人が一人で住むとしてワンルームを選ぶだろうか?そこらへんを不動産屋に問い詰めると、確かに40代~60代の人は東京に一人で住むといってもワンルームマンションは借りないらしい。

ちなみに日本の人口は将来にかけて以下のように減っていくみたい。

  • 2004年
    • 14歳以下:1,759万人
    • 15歳~64歳:8,442万人
    • 65歳以下:2,576万人
  • 2030年
    • 14歳以下:1,115万人
    • 15歳~64歳:6,740万人
    • 65歳以下:3,667万人
  • 2055年
    • 14歳以下:752万人
    • 15歳~64歳:4,595万人
    • 65歳以下:3,646万人

2004年⇒2030年にかけて、15歳~64歳の人口は21%減

将来推計人口(平成18年推計)の概要(PDF)

よって増えているのは40代~60代の単身者でワンルームを借りるような10代~30代の単身者は減っているかもしれない。

■不動産投資の中ではそこまで悪い商品じゃない?

実は最初、「持ち家買ったり不動産投資するならREITでも買っとけ」という方向でワンルームマンションを否定しようとしたのだが、去年夏からJ-REITが爆下げしているのに対して、ワンルームマンションの家賃は下がっていない。これはどういうことかと考えると、REITはオフィスビルを中心に扱っているのに対して、ワンルームマンションはワンルームに特化した投資であること。ここ4,5年は都心に人が集まってワンルームマンションの需要がある状況が続くだろうから、この不況下でマックやユニクロに投資して成功するようなことができるかもしれない。

■その他ネットの意見

ワンルームマンション経営のメリット – 教えて!goo

ここは否定派が多い。専門家の意見は参考になるが中には私怨で回答している人も。

マンション投資を始めるならワンルームマンション経営!:マンション投資.COM

本気で成功するつもりなら、こういうサイトを見たり自分で調べたりして業者を決めるべきだろう。

■結局

2000万円もレバレッジ利かすのは嫌なので今回は断りました。やっぱ35年後=2045年まで続く金融商品を持つのはリスクだよねぇ。