経済産業省の未来人材ビジョンを読む

未来人材ビジョン

最初に

こういうのを読むメリットとしては

  1. 単純な娯楽
  2. 教養
  3. 誰かに何か話すときのネタになる

て所である。1は読んでて面白いよね。データとか。国が超一流コンサルに依頼してしこたまレビューして作った文章、と考えるとこの成果物は1,000万円を下らないのでは?と言えるし、そりゃ緻密で面白いでしょ。

2。勉強になる。というか国が出してる資料ってたくさんあって全部役立つよね。で、全部読んでる時間はないから、twitterで流れてきたものとか、データベースから自分に関係あるもの読むとか、そういうので定期的にチェックしていきたいよね。youtubueでインフルエンサーが出してる動画をちょいちょい読むでもいいけど、国の資料を読んで自分で考えるのがいいよね。

ってyoutubeで"未来人材ビジョン"を検索したけど、動画数が少なすぎてビビりました。

3。例えば営業現場とかセミナーで国の資料を根拠にできるといい感じですよね。

スライドとその感想

問題意識(冒頭~P.12)

生産年齢人口は現在の2/3となり、外国人労働者を含めても生産年齢人口が足りない事(日本が魅力的ではないため、外国人労働者を集めることが出来ない)、労働市場の両極化の兆候について言及。

ここでの問題提起に対するジャストアイディアは以下。

生産年齢人口の定義を70歳とか75歳にする

LIFE SHIFT的にはこれが正道で、寿命のインフレが発生しているので将来の70歳~75歳でも普通に働ける可能性がある。既にこのような動きはあり、企業は定年を伸ばしているし年金も遅く受け取ってくれ~と国が言っている。

労働市場の二極化

中途半端なスキルの職はAIに代わられる、ということ。

ただスライドにもある通り、労働人口の49%が自動化されるのであれば、生産年齢人口が2/3になっても大丈夫、と見える。

が、49%の自動化される職についている人は職を失うため、別のスキルを身に着ける必要がある。

図にすると以下。2020年の仕事量に対して生産年齢人口が釣り合っていると仮定。2020年の仕事量を300とした(割りやすいため)

スキル2020年の生産年齢人口2050年AIでの代替2050年の労働力需要2050年の生産年齢人口結果
低スキル30075225不足20025人手不足
中スキル300300不足なし200200人出余り
高スキル30075225不足20025人手不足

簡単なモデルだが、中スキル人材は不要になるが、低スキル・高スキル人材は不足しそう。

労働需要の推計(P.14~P.28)

中スキル人材が不要になり、低スキル人材と高スキル人材が必要になる、という話について。

"これから求められるスキル"は主に高スキル人材をイメージして記載されている様子。

さすがに中スキル職が100%減少というわけではなかったが、事務従事者が42%減ってのは結構なインパクト。もう新卒採用不要じゃね、みたいな。

以下が求められるスキルについて。高スキル人材を目指す人はどうぞ。

雇用・人材育成(P.29~P.69)

この項目。結構長いです。

前編:雇用

日本の従業員満足度は低いが、転職したい人はいない、という以前から言われている話で頭出し。

従業員満足度が低い理由として、昇進が遅いからと昇進しても給与がショボいから、という理由。しかし転職しても賃金増加につながらない。

スキルアップが給与に反映されない状態、というやつですな。よって従業員も勉強しない。

ここらへん、うまく図解しているtwtiterの投稿があったのですが見つけられず。見つけたら追加します。

その後は、企業自身の姿勢について。スキルを重視せず同属性が高い。こういった企業は平均して成長が鈍いと言われる。

後編:人材育成

ここで唐突な「人材版伊藤レポート」

いろいろ書いてあるけど、つまりは同質性 → 多様性でいきましょう、ということ。多様な人材を"内"に取り込むだけじゃなく、内←→外の人材交流も大事、ってことですな。まぁ転職活性化するだけでもいいけど。

副業解禁、が最近叫ばれてるけど、背景にはこういった事情もあります。

新卒一括採用をしている会社が多かったけど、ジョブ型採用が徐々に増えてきています。

以上。

言いたいことは分かるけど、スライドとスライドの間で論点飛んでるところがあって「?」 ってなる事がありました。これをベースにした講演とか行ってくれればいいんだけど。

教育(P.70~P.95)

定型的な学びと非定型的な学びについて。

  • 定型的 = 従来型の詰め込み教育だが、これは学校一括ではなくオンライン環境などを利用して個々に合わせて学びを進める方がいいんじゃね?
  • 非定型型 = 従来の学校には苦手な"答えのない学習"。学校だけでは難しいので、サードプレイスなどの利用も視野に。前セクションで書かれていた一番重要なスキルである"課題設定力"はこの非定型型の学習で学ぶことが出来る。

結語(P.96~P.108)

今までの話のまとめ。割愛。

感想

この資料、ネットだと「日本オワコンを認めた」とかさんざん言われていますが、オワコン化しつつある現状を認めつつ、これからどうするかも提示している資料なので、日本オワタとだけ言ってても仕方ない、というか煽りたいだけじゃないのかと。

重要なのは"これからどうするか"をしっかりと読み込み、個人や組織で行動する事だろうなと思いました。例えばですが

2050年に必要とされるスキルを身に着けるべく勉強を進める

成長する企業、しない企業の分類を読み込み、投資などに役立てる。自分の会社が成長しない側の企業であれば転職を考える

あるべき人材の移動に自らが乗っかる

などでしょう。